野生動物の密猟・乱獲の問題がわかる、BBCドキュメンタリー。ウロコの乱獲が止まらず絶滅の危機にある珍獣センザンコウ。地球上で生き残りが3頭になってしまったキタシロサイ。アジア市場を止めなければ密猟は止まらない現状。絶滅に向かう野生動物たちを救うことができるのでしょうか? プライムビデオで視聴可能
乱獲が止まらず、絶滅の危機にある珍獣センザンコウ。地球上で残り3頭になってしまったキタシロサイ。どうしてこのような状況になってしまったのでしょうか? 深刻な野生動物の密猟問題がわかる、BBCドキュメンタリー作品を紹介します。
現在、野生動物たちの環境は過酷です。森林は伐採され、地球温暖化は止まらず、自然の環境は急激に変化しています。それに追い打ちをかけるのが、人間。密猟による乱獲です。 野生動物の保護活動の視点から、密猟の影響と、それを止められない現状がわかる内容になっています。
※2022/8現在、ここで紹介する作品は、Amazonプライムビデオで見ることができます。
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珍獣センザンコウ 絶滅危機から救え(字幕版)
センザンコウとは?
固いうろこを持った、爬虫類のような姿をしている珍獣・センザンコウ。 みなさんはセンザンコウのことをどのくらい知っているでしょうか? 固いウロコを持った、爬虫類のような哺乳類。アリクイのように長い舌でアリを食べ、アルマジロのように体を丸めて身を守る珍獣です。 現在このセンザンコウの乱獲が問題になっています。
とりあえずセンザンコウ歩く姿をご覧ください。アフリカのセンザンコウは、まさかの二足歩行で、とにかくかわいい。映像は保護活動家に保護されたセンザンコウの”ハニーバン”。名前もかわいいですね。
Youtube: 二足歩行のセンザンコウ
途中からセンザンコウの保護活動を手伝っているスティーブンが見るからにいい人。スティーブンの肩に乗って移動するハニー・バンの映像は、ものすごく癒されます。ただ毎日5時間の散歩(食事)はつらすぎる。
Youtube: スティーブンとハニー・バン
センザンコウの深刻な乱獲問題
この作品はセンザンコウに人生をささげる保護活動家”マリア・ディークマン”の活動を中心とした動物ドキュメンタリーです。メインテーマは、センザンコウの密猟で、とれも根の深い問題です。センザンコウがなぜ乱獲されているのか、どうすれば止めることができるのか?
ショッキングな映像も流れますが、人間の欲望や知識のなさが動物を絶滅に追いやることがわかる作品なので、少しでも興味ある人は見てほしいです。
Youtube:世界で最も密猟されているセンザンコウ
動画はナショナルジオグラフィックのものですが、わかりやすくまとまっています。センザンコウの密猟については、下記のリンクの記事が読みやすかったです。
外部Link
センザンコウの保護活動
この作品の中では、中国の女優・人気モデル"のアンジェラベイビー"さんのセンザンコウの保護活動が紹介されています。影響力のある有名人の保護活動は心強いですね。 乱獲で有名になってしまったセンザンコウですが、10年後には絶滅の危険から脱出するニュースが聞けるとよいのですが、どんな結末を迎えるのでしょう。
Youtube: センザンコウの保護活動をするアンジェラベイビー
センザンコウの保護活動は、少しづつ進んでいます。
外部Link
スーダン:最後のシロサイ
こんな内容
最初にキタシロサイのスーダンが亡くなったテロップが流れる、なんとも儚い作品。スーダンは生き残っている3匹のキタシロサイの唯一のオス。 キタシロサイを全滅の危機から救う人々を追うドキュメンタリー。人間と野生動物の関係性についていろいろと考えさせる作品に仕上がっています。
舞台はケニアの自然保護区。スーダンを見に来るたくさんの観光客たち。 「観光客は最後のキタシロサイだから、見にやってくる。こうなる前に関心が高まってくれれば」と、嘆きともいえる運営者の言葉は、ほかの野生動物たちにも当てはまるのではないでしょうか? 作中では、キタシロサイを絶滅から救いたい人たちの活動と、刻々と悪くなる環境の変化を見ることができます
キタシロサイを救うための活動
キタシロサイの子孫を残すためには、もはや体外受精を成功させるしか手段はありません。 サイの精子は冷凍保存されていますが、限られています。最後のメスも出産できるタイムリミットが迫っています。厳しい状況の中、キタシロサイの繁殖は成功するのでしょうか?
変わっていく環境
この作品では、どうしてこのような状況になってしまったのか、古い映像を交えて、検証・考察をしています。スーダンが生まれた1970年代には、キタシロサイだけでなく、まだまだ多くの野生動物がいたことがわかります。やはりこの状況を作ったのは人間でした。
また、密漁者から自然保護区を守るレンジャーたちにも触れています。キタシロサイを全滅から救うために活動しているのに、減っていくサイたち。広大な自然保護区では、完全に密猟者は駆逐できません。キタシロサイたちのお墓が厳しい現実を物語ります。
なぜキタシロサイは密猟されたのか?
この作品では、どうしてこのような状況になってしまったのか、古い映像を交えて、検証・考察をしています。スーダンが生まれた1970年代には、キタシロサイだけでなく、まだまだ多くの野生動物がいたことがわかります。やはりこの状況を作ったのは人間。 動物園での需要と、密猟の増加でした。
最後の人間を象徴するようなナレーションと、無言のエンドロールがいろいろなことを考えさせます。
外部Link
アジア市場と密猟問題
野生動物はなぜ密猟されるのか?
センザンコウ保護活動家の”アジア市場を止めないとアフリカは変わりません”というセリフが、密猟問題が一筋縄ではいかないことを表しています。 アフリカを始め、世界中のセンザンコウが乱獲されていますが、その大半が中国を中心としたアジア圏に集まります。アフリカで密漁の取り締まりを厳しくしても、アジア市場で買い手がいる限りは密猟は続いてしまいます。
センザンコウやサイが密猟・乱獲されている主な原因は、センザンコウのウロコや、サイのツノは伝統薬の原料になるからです。 ウロコやツノの成分はケラチン。人間の爪と同じ成分です。その効能に科学的根拠はありません。効果があるなら人間の爪を入れておけばいいはずです。
憶測になりますが、伝統薬が高くても売れるのは、ブランド的な価値がついているからだと思われます。 日本でも鹿茸(ロクジョウ)のような、高額な漢方薬が売られていますが、人間に対する明らかな効果は認められていないようです。 効果が曖昧でも、高い伝統薬が売れるのは、漢方のようなブランド力と、最終的な手段としての期待だと思います。アジア市場で高額されている伝統薬も、同じではないでしょうか?
密猟を止めるには?
密猟売買でやっていることは、商品を買い占め、価格を釣り上げて売る転売ヤーと同じです。ただ、野生動物の場合、取り返しのつかないことになります。 転売問題の構造で考えると、解決策も同じだと思います。アジア市場を止めるのは難しそうです。野生動物の大量出荷はできません。商品自体の価値を減らすことが、重要です。商品に値がつかなくなれば、リスクのある密猟をする意味がなくなります。
現実的には、政治や社会的な問題も大きく、簡単に解決できる問題ではありません。しかし、密猟の現状や原因を一人でも多くの人に知ってもらうことが、密猟を減らすことにつながります。 密猟した野生動物の材料に科学的根拠がない、密猟した商品を使うのは社会的にマイナスになることを多くの人に伝えることが、密猟を減らしていく方法になるのではないでしょうか?